酒盃あれこれ 展

-酒と酒杯(盃)について-

酒は古代から現代まで人間の生活には欠かせないものと言っても過言ではありません。
古代では神聖な儀式に用いられる貴重なものでした。
その起源は極めて古く、有史以前の9000年前頃の中国の遺跡から見つかった醸造酒の成分が、考古学的には最古の酒です。
オリエント世界でも7500年前頃の遺跡から見つかり、エジプトでは4700年前頃には既にワインが飲まれていました。
中国では、殷・周の時代には国家の重要な祭事に使用されていました。
酒のもたらす精神の高揚や変容が宗教体験と結びつけられて宗教的儀式や祭祀に使われていたものと考えられますが、酒についての考え方は宗教毎に違い、神聖な場面で扱う特別な物という宗教もあれば、イスラム教や仏教のように酒を遠ざける宗教もあります。
日本では、今や、酒の種類も無数にあり、誰もがたしなめるもの、嗜好品になりましたが、「お神酒」、「お屠蘇」のように、酒類の儀礼性、宗教性は今なお色濃く残っています。
当然ながら、宗教儀式に用いられる酒を容れる器(酒杯、杯、盃)も儀式に相応しい形のものが作られ、今日に伝わっています。

本展では古代中国の酒盃と日本の現代作家の陶磁器を中心に展示しております。
酒杯・酒盃(しゅはい)、杯(はい)、盃(さかずき)は酒を飲むための器のことで同義語です。中国でも、日本でも、古代の酒杯は素焼きの土器(かわらけ)が用いられており、今でも神事の道具として使用されることがあります。
酒杯の中でも神事用と思われる物は素朴な造形の中にも、力強さ、存在感があります。

日本では、15世紀頃から漆塗りの盃も用いられ、新年のお屠蘇や婚礼などの儀式には現在でも吉祥文様の漆塗りの重ね杯が使われています。

磁器の盃で飲むようになったのは江戸時代中期頃からで、明治にかけてアルコール度数の高い良質な酒の精製ができるようになったことなどが要因で、次第に盃の大きさが小さくなり、同時に、酒席で映えるように磁器に様々な釉薬を施した染付、色絵の盃も生まれました。神事から庶民の飲物として酒が大衆に普及して酒文化が花開いて行く過程でもあります。「今宵、この酒はどの盃で飲もうか」と好みの器さがしをするのも盃の一興であり、盃コレクションの趣味人の方も多いはずです。

盃は本来、酒を注ぎ、実際に唇にあてその感触を確かめながら酒を楽しむものですが、無粋ではありますが、鑑賞のみにしていただいて、唇にあてた感触をご想像いただき、お楽しみいただきたく存じます。

[会期]
[会場] 大広間